It always seems impossible until it’s done.
インプレッション取引をパッケージ化して実践する

インプレッション取引をパッケージ化して実践する

簡易&小規模に始め、トライ&エラーで最適化

前回のプログラBLOGでは、在京キー局における「インプレッション取引」の可能性 を検証しました。その結果、各局の特性に合わせた取引の仕組みが求められることが分かりました。つまり、単一のセグメントで局横断的に一律の条件で取引するのは難しく、局ごとの最適化が不可欠です。しかし、個別に取引の仕組みを構築するには時間や労力がかかるうえ、広告主にとっても分かりづらくなる可能性があります。

そこで、まずはパッケージ型の商品を作成し、インプレッション取引を簡易的かつ小規模に実践しながら、広告主と共にトライ&エラーを重ねて最適化を探るアプローチも有効ではないかと考えます。最初からシステムを大規模に構築すると、改修が必要になった際に無駄が生じるリスクがあるためです。また、この手法は在京キー局だけでなく、ローカル局の独自のインプレッション取引にも適しているではないかとも考えています。

以前と比べると規模や粒度の差はあれど、ローカル局が利用できるテレビ視聴データは格段に増えてきています。ローカル局は「地場リテールメディア」との連携強化を進める必要性も高まっており(それは好機)、テレビCMのインプレッション取引は喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。

ストリーミング視聴の急増による「視聴の断片化」で、今後はターゲティングを前提としたCTV広告(ストリーミング)を「メイン」とし、テレビCM(リニアTV)を「補完」として活用する流れが主流となるでしょう。ただ、従来のテレビCMと同等規模の露出量をCTV広告だけで確保しようとすると、CPM(広告単価)の高さが広告主にとって大きな負担となるため、より効率的な新しい活用方法を模索する必要があります。

CTV広告は、現状ではリーチを積み上げるのに時間を要する一方で、テレビCMは瞬発力があり、リーチを一気に獲得できるのが特徴です。以下は、米LG Ad Solutionsのレポート から抜粋した参考資料ですが、実際にキャンペーンを実施する際には、例えば、テレビCMでのリーチ獲得のタイミングをCTV広告のピークに合わせていくことで、新たな戦略が描けます。

米国トップブランド企業の効率スコア〜リニアTV vs CTV|2024年第3四半期(lgads.tv より)

 

簡易パッケージ化の検討

最初の簡易パッケージ化は、“勝手に” TBSを想定し、いくつかを試作してみます。今回は分かりやすさを重視し、デモグラ商品として作成しますが、今後はデモグラ以外のパッケージ化も検討していきます。なお、視聴データには スイッチメディア社 の「TVAL」からデータをお借りし、パッケージ化のためのシミュレーションには当社の「iTS」を使用しています。

それでは、前提となるCM総量を確認しましょう。これはスポットCM1週間分の全枠を15秒換算して算出しています。(表はクリックで拡大)
*2024年7月期

次に、TBSのデモグラ別インプレッション数を集計した結果が以下となります。これも、CMごとの視聴データをすべて積み上げて集計したものです。また、関東エリアのテレビ視聴人口(男女4歳以上)とテレビCMインプレッション比率の比較も掲示しておきます。これらのデータを基にパッケージ化を進めていきます。(グラフは共にスポットCM全枠)

TBS:テレビ視聴人口とテレビCMインプレッション数の比率比較

 

コンバージドTVにおけるターゲット戦略

パッケージの作成にあたり、CTV広告をメインとし、テレビCMを補完的に活用する際の整理をしました。下図は「メインターゲット」と「周辺ターゲット」の関係性を示しています。これが「コンバージドTV」における、つまりストリーミングとリニアTVによる動画視聴を統合的に捉えるターゲット戦略となります。
*周辺ターゲット:従来のメディアプランニングやバイイング時に軽視されがちなサブターゲット群のこと

コンバージドTVにおけるターゲット戦略の整理
コンバージドTVにおけるターゲット戦略の整理

CTV広告は、特定のセグメントに対してターゲティングが可能ですが、CPMは非常に高額になります。一方、テレビCMは従来の「大量に安く」から「適量を効率的に」バイイングする戦略へと移行し、CTV広告に対するインクリメンタルリーチを確保しながら、タイミングよく効果的に重複リーチを生み出すことが求められます。

CTV広告では、周辺ターゲットは考慮されていないケースが一般的ですが、広告主の多くは、他のプロモーション活動においてはセールス面を考慮して、何らかの周辺ターゲット(サブターゲット群)も設定していると考えられます。

したがって、テレビCMにおけるインプレッション取引では、従来のGRP取引とは異なった活用方法が可能なこと(買い方ができること)を明示する必要があるでしょう。

今回、想定するパッケージ(TBSを例とする)

① MF1(メインターゲット)、MF2(周辺ターゲット)
② MF2(メインターゲット)、MF1/MF3(周辺ターゲット)
③ コアターゲット(MFT/MF1/MF2)

<特記>
TBSは、MF1、MF2層に効率が良いCM枠が「土曜日(午前〜夕方)」に集中しやすいため、インプレッションボリュームに「25%以内/曜日」(変動可)という制約条件を付加し、GRP取引する通常枠への影響を軽減させています。

 

パッケージ化の詳細

① MF1(メインターゲット)、MF2(周辺ターゲット)

設定金額:1,350万円(税別)
商品内容 メインターゲット 周辺ターゲット 合計(予測値)
想定ターゲット M1、F1 MF2 メイン+周辺
インプレッション数  300万回(保証) 400〜450万回(想定) 700〜750万回
ターゲットCPM 2,500円(設定) 1,500円(設定) 1,800〜2,000円
その他
  • 掲出期間:7日間
  • 個人全体インプレッション数:1,700万回前後(CPM約800円)
  • メインターゲット比率:17%前後(平均11%前後)
  • CM本数:35本前後
  • GRP想定:45GRP前後(個人全体)
  • CMフリークエンシー:同日同時間1本まで
  • インプレッションボリューム:25%以内/曜日
  • メイン+周辺以外のインプレッションはCPM1円換算(データ料のみ)
*以下タイムゾーンの中でCM掲出予定

CM掲出タイムゾーンとインプレッション数(メインターゲット)

TBS Package CP1

 

② MF2(メインターゲット)、MF1/MF3(周辺ターゲット)

設定金額:600万円(税別)
商品内容 メインターゲット 周辺ターゲット 合計(予測値)
想定ターゲット M2、F2 MF1/MF3 メイン+周辺
インプレッション数  200万回(保証) 350〜400万回(想定) 550〜600万回
ターゲットCPM 2,000円(設定) 1,000円 / 500円(設定) 1,000〜1,100円
その他
  • 掲出期間:7日間
  • 個人全体インプレッション数:800万回前後(CPM約750円)
  • メインターゲット比率:25%前後(平均17%前後)
  • CM本数:20本前後
  • GRP想定:20GRP前後(個人全体)
  • CMフリークエンシー:同日同時間1本まで
  • インプレッションボリューム:25%以内/曜日
  • メイン+周辺以外のインプレッションはCPM1円換算(データ料のみ)
*以下タイムゾーンの中でCM掲出予定

CM掲出タイムゾーンとインプレッション数(メインターゲット)

TBS Package CP2

 

コアターゲット(MFT/MF1/MF2)*男女13〜49歳

* TBSの新指標「LTV4-59」(男女4〜59歳)に合わせてパッケージ化をすることも可能

設定金額:1,250万円(税別)
商品内容 メインターゲット 周辺ターゲット 合計(予測値)
想定ターゲット コア(MF13-49) メインのみ
インプレッション数  1,000万回(保証) 1,000万回
ターゲットCPM 1,000円(設定) 1,250円
その他
  • 掲出期間:7日間
  • 個人全体インプレッション数:2,000万回前後(CPM約630円)
  • メインターゲット比率:45%前後(平均30%前後)
  • CM本数:40本前後
  • GRP想定:55GRP前後
  • CMフリークエンシー:同日同時間1本まで
  • インプレッションボリューム:25%以内/曜日
  • メイン+周辺以外のインプレッションはCPM1円換算(データ料のみ)
*以下タイムゾーンの中でCM掲出予定

CM掲出タイムゾーンとインプレッション数(メインターゲット)

TBS Package CP10

 

前回のポテンシャル試算 では、TBSの平均CPMは418円と見積もっており、それを基にインプレッション取引分の総収入を試算すると、増減率は148%(+48%増)と予測します。この手法では、進行スケジュールをGRP取引に合わせておけば、最初からすべてが完売しなくても通常のスポットCM枠に戻せばいいため、リスクを最小限にすることができるでしょう。(CM掲出タイムゾーンは月単位で変動)
*%コスト平均では約157,000円

以上、今回は一旦ここまでとします。なお、本プログラBLOGは、現在まだ「書きかけ」の状態であり、引き続き検証を行っていきます。また、他局で行ったシミュレーションなども、機会があればご紹介したいと思います。

 

<ご注意ください>
本ブログでご紹介する「簡易パッケージ」は、国内のテレビCMにおけるインプレッション取引の啓蒙を目的として、当社が独自に試算・想定したものであり、株式会社TBSテレビ(TBS)が実際に販売している商品とは一切関係がありません。また、本記事の内容は、将来的に同社が同様のセールス手法を導入することを示唆または保証するものではありません。ご了承ください。

 

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Yoshiteru Umeda|楳田良輝