ちょっとシミュレーションをしてみよう
前回のプログラBLOG「AdRM:アドリーチマックスの話を聴いてきた。」のスピンオフ編です。テレビCMのインプレッション取引のシミュレーション(独自試算)をいくつかやってみましたので、メモがてら残しておきます。
シミュレーションには、当社の「iTS:テレビCMインプレッション取引シミュレータ」を使用しています。以前は簡易シミュレータ「iTSウェブ版」として限定公開していましたが、現在は会員限定となっていますのでシミュレーション結果だけを掲載します。以下のブログページは現在でも閲覧できます。もしご興味があればご一読ください。
シミュレーションの前に
シミュレーションに使用している元データ(関東エリア)では、全日型の平均的なターゲット比率は次のようになっています。個人全体に占める各セグメントのインプレッション数から試算して一覧にしてあります。例えば、F1比率を見たい場合は表側と表頭のF1が交わるセルを、F1からF2までの合計比率を見たい場合は表側がF1、表頭がF2の交わるセルでご参照ください。これまでの繰り返しとなりますが、異なるセグメントのGRP(視聴率)は足せませんが、インプレッション数で見る場合は「実数」ですので加算・減算が可能です。

8つのシミュレーションを見てみよう
では、いくつかのシミュレーション結果を見ていきましょう。このシミュレーションは1週間分で行われます。また「メインターゲット」に加えて、「周辺ターゲット」(いくつかのサブターゲット群)にもターゲットCPM(以下、TCPM)の設定ができる仕様となっています。GRP取引での平均CPMは 335円 として試算しています。ターゲット外は 1円(最小単価)で設定しています。もし、シミュレータの詳細についてお知りになりたい場合は上記の「iTS」のページ でご確認ください。
① F1のみにCPM 2,500円 を設定
② F1のCPMを 2,500円 → 5,000円 に
③ F1メインに加え、周辺にFTとF2
④ F1メインに、コア層も評価
⑤ 高齢層への効率をアップ
⑥ 飲料メーカー(20〜30代若者)
⑦ 消費財メーカー(主婦向け)
⑧ 戸建住宅メーカー(M2+F2)
① F1のみにCPM 2,500円を設定
<概要> 広告主からの人気が高い「F1層」のみをメインターゲットとしました。しかし、残念ながらインプレッション数上限まではCM枠が確保できない結果となりました。これはシミュレータが、GRP取引の平均CPM 335円を下回る場合はインプレッション取引をわざわざ行わない設定のためです。ただし、他に競合する案件がなければ、このTCPM設定でも全く対象のCM枠がない訳ではありません。ターゲット比率は平均の6.0%から14.9%(247%)までアップしていますが、最終的なCPM、つまりトータルターゲットCPM(以下、totalTCPM)のコスト上昇は111%(335円 → 373円)と半分以下に留まっています。
<設定条件>
メインターゲット | 女性20〜34歳(F1) |
周辺ターゲット | 設定なし |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン 2,500円(F1) |
インプレッション数上限 | 100万回(メインのみ) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 3,390,000回 |
メインターゲット | 505,000回(比率:14.9% / ↑247%) |
周辺ターゲット | – |
メインターゲット+周辺ターゲット | – |
ターゲット外 | 2,885,000回(比率:85.1%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 9本 |
GRP概算 | 8GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 1,265,000円 |
メインターゲットCPM | 2,510円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | – |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 373円 /↑111% |
② F1のCPMを 2,500円 → 5,000円 に
<概要> インプレッション数の設定上限まで達しなかったシミュレーション①と他の条件を全て同じにして、TCPMだけを 2,500円 → 5,000円 にアップしました。対象となるCM枠は増え、メインターゲットへのインプレッション数は上限まで到達しました(ただし、上限を超えず未満で止める設定)。さらに、ターゲット比率も①と比較すると 15.5%(+0.6p) となっています。ただ、F1のターゲット効率が高いCM枠数には限りがありそうです(FQ上限の影響もあり)。totalTCPMは 335円 → 778円(232%)まで上昇しますが、ターゲット比率も258%(6.0% → 15.5%)までアップしています。
<設定条件>
メインターゲット | 女性20〜34歳(F1) |
周辺ターゲット | 設定なし |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン 5,000円(F1) |
インプレッション数上限 | 100万回(メインのみ) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 6,421,000回 |
メインターゲット | 998,000回(比率:15.5% / ↑258%) |
周辺ターゲット | – |
メインターゲット+周辺ターゲット | – |
ターゲット外 | 5,423,000回(比率:84.5%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 14本 |
GRP概算 | 17GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 4,977,000円 |
メインターゲットCPM | 5,010円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | – |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 778円 / ↑232% |
③ F1メインに加え、周辺にFTとF2
<概要> F1をメインとして、サブターゲットとして評価する(できる場合の)FTとF2にも「周辺ターゲット」としてTCPMを設定しています。ただし、メインと周辺のTCPMは同等には評価できないため(ココ重要)、差をつけています。その結果、メイン(F1)のTCPMは 5,000円 → 2,500円 の半額にも関わらずインプレッション数上限まで達しました。ターゲット比率は平均 6.0% → 15.0%(249%)ですが、totalTCPMは 335円 → 636円(190%)。totalTCPMの上昇がシミュレーション②の232%よりも低く抑えられる結果となっています。
<設定条件>
メインターゲット | 女性20〜34歳(F1) |
周辺ターゲット | 女性13〜19歳(FT)、女性35〜49歳(F2) |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン2,500円(F1) 周辺1,500円(FT、F2) |
インプレッション数上限 | 100万回(メインのみ) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 6,649,000回 |
メインターゲット | 999,000回(比率:15.0% / ↑249%) |
周辺ターゲット | 1,149,000回(比率:17.3%) |
メインターゲット+周辺ターゲット | 2,148,000回(比率:32.3%) |
ターゲット外 | 4,502,000回(比率:67..7%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 14本 |
GRP概算 | 17GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 4,226,000円 |
メインターゲットCPM | 4,230円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | 1,970円 |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 636円 / ↑190% |
④ F1メインに、コア層も評価
<概要> キャンペーン規模を拡大するためにメインターゲットをF1、周辺ターゲットとしてコア層(男女13〜49歳)まで広げています。このように設定することで、メインターゲット比率は平均 6.0% → 11.4%(190%)ですが、totalTCPMは 335円 → 516円(154%)に上昇率を抑えられています。また、コア層の平均的な比率も 30.6% → 45.9%(150%)までアップしており、totalTCPM上昇分と同等程度のターゲット効率をコア層でも維持しながらも、メインF1の効率を向上させられています。
<設定条件>
メインターゲット | 女性20〜34歳(F1) |
周辺ターゲット | 女性13〜19歳(FT)、女性35〜49歳(F2) 男性13〜19歳(MT)、男性20〜34歳(M1)、男性35〜49歳(M2) |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン1,500円(F1) 周辺1,000円(FT、F2、MT、M1、M2) |
インプレッション数上限 | 2,000万回(メイン+周辺) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 43,553,000回 |
メインターゲット | 4,976,000回(比率:11.4% / ↑190%) |
周辺ターゲット | 14,995,000回(比率:34.4%) |
メインターゲット+周辺ターゲット | 19,971,000回(比率:45.9%) |
ターゲット外 | 23,582,000回(比率:51.1%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 63本 |
GRP概算 | 110GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 22,483,000円 |
メインターゲットCPM | 4,520円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | 1,130円 |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 516円 / ↑154% |
⑤ 高齢層への効率をアップ
<概要> インプレッション取引におけるターゲティングは若者層だけでなく、高齢層にも有効です。M3/4、F3/4なら450円程度のTCPMでも効率をアップさせられます。totalTCPMの上昇は 335円 → 369円(110%)ですが、メインターゲット比率は平均の 65.9% → 82.0%(124%)となります。ターゲット効率の改善は低めですが、重要なことは高齢層向けも併用することでCM枠全体から若者層向けのCM枠を残存させる効果も期待でき、テレビ局としてのCM在庫管理に役立ちます。
<設定条件>
メインターゲット | 男性50〜64歳(M3)、男性65歳以上(M4) 女性50〜64歳(F3)、女性65歳以上(F4) |
周辺ターゲット | 設定なし |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン450円(M3、M4、F3、M4) |
インプレッション数上限 | 3,000万回(メインのみ) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 36,531,000回 |
メインターゲット | 29,966,000回(比率:82.0% / ↑124%) |
周辺ターゲット | – |
メインターゲット+周辺ターゲット | – |
ターゲット外 | 6,565,000回(比率:18.0%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 23本 |
GRP概算 | 35GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 13,491,000円 |
メインターゲットCPM | 450円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | – |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 369円 / ↑110% |
⑥ 飲料メーカー(20〜30代若者)
<概要> 某飲料メーカーのプレスリリースを参考に「20〜30代若者向け飲料」で試算。MF1をメインターゲット、MF2は49歳まで含みますので、その一部がターゲットであるとし「周辺ターゲット」とします。TCPMはメインが1,500円、周辺は少し安く1,000円です。メインターゲット比率は平均の 10.6.% → 21.8%(206%)。加えて、メイン+周辺比率も平均 27.8% → 47.8%(172%)に上昇しています。totalTCPMは 335円 → 587円(175%)ですが、インプレッション取引では予算をこの1/2にしても、1/4にしても、ほぼ同じような効率が得られますので、CTV広告とも併用しやすくなります。
<設定条件>
メインターゲット | 男性20〜34歳(M1)、女性20〜34歳(F1) |
周辺ターゲット | 男性35〜49歳(M2)、女性35〜49歳(F2) |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン1,500円(M1、F1) 周辺1,000円(M2、F2) |
インプレッション数上限 | 300万回(メインのみ) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 13,765,000回 |
メインターゲット | 2,996,000回(比率:21.8% / ↑206%) |
周辺ターゲット | 3,578,000回(比率:26.0%) |
メインターゲット+周辺ターゲット | 6,574,000回(比率:48.0%) |
ターゲット外 | 7,191,000回(比率:52.0%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 23本 |
GRP概算 | 35GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 8,079,000円 |
メインターゲットCPM | 2,700円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | 1,230円 |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 587円 / ↑175% |
⑦ 消費財メーカー(主婦向け)
<概要> 大手消費財メーカーにヒアリングした際「ターゲット外が1円の価値しかないとは思っていない」とのアドバイスを受けシミュレーションしました。日用品を想定した女性ターゲットですがメインターゲットも全てが同一のTCPMである必要はありません(F1とF2が1,000円、F3は400円に分けて設定)。ターゲット外は100円と50円。結果、メインターゲット比率は平均の 28.2% → 38.6%(137%)に上昇していますが、totalTCPMは 335円 → 375円(112%)に抑えられています。インプレッション数上限も個人全体で設定した5,000万回に到達しています。大型キャンペーンに向いていそうです。
<設定条件>
メインターゲット | 女性20〜34歳(F1)、女性35〜49歳(F2)、女性50〜64歳(F3) |
周辺ターゲット | 女性13〜19歳(FT)、女性65歳以上(F4) |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン1,000円(F1、F2)、400円(F3) 周辺200円(FT、F4) ターゲット外100円(MT、M1、M2、M3、M4)、50円(FC、MC) |
インプレッション数上限 | 5,000万回(個人全体) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 49,934,000回 |
メインターゲット | 19,293,000回(比率:38.6% / ↑137%) |
周辺ターゲット | 8,827,000回(比率:17.7%) |
メインターゲット+周辺ターゲット | 28,120,000回(比率:58.1%) |
ターゲット外 | 21,814,000回(比率:41.9%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 57本 |
GRP概算 | 126GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 18,721,000円 |
メインターゲットCPM | 970円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | 670円 |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 375円 / ↑112% |
⑧ 戸建住宅メーカー(M2+F2)
<概略> 以前コンサルティングさせていただいたいた戸建住宅メーカーを例とした試算です。大手のように良質なタイムを多く持てず、年数回のスポット中心で、M2含有率だけを指標にバイイングしています。ですが、M2のパートナー層(例:F2)もメインに加え、さらに上下年齢層も周辺ターゲットとすると、メインターゲット比率は平均 17.3% → 26.3%(152%)まで引き上がりますが、FQなどを緩和すればもっと効率はアップします。totalTCPMも 335円 → 500円(149%)と低く抑えられています。
<設定条件>
メインターゲット | 男性35〜49歳(M2)、女性35〜49歳(F2) |
周辺ターゲット | 男性20〜34歳(M1)、男性50〜64歳(M3) 女性20〜34歳(F1)、女性50〜64歳(F3) |
設定ターゲットCPM(TCPM) | メイン1,500円(M2)、1,000円(F2) 周辺500円(M1、F1)、355円(M3、F3) |
インプレッション数上限 | 500万回(メイン) |
CM本数上限 | 上限なし |
同日/同時間上限 | 1本(FQ上限) |
<シミュレーション結果>
インプレッション数内訳
個人全体 | 18,990,000回 |
メインターゲット | 4,994,000回(比率:26.3% / ↑152%) |
周辺ターゲット | 8,312,000回(比率:43.8%) |
メインターゲット+周辺ターゲット | 13,306,000回(比率:70.1%) |
ターゲット外 | 5,684,000回(比率:29.9%) |
CM本数とGRP概算
CM本数 | 34本 |
GRP概算 | 44GRP |
CM金額とターゲットCPM
CM金額合計 | 9,497,000円 |
メインターゲットCPM | 1,900円 |
メインターゲット+周辺ターゲットCPM | 720円 |
トータルターゲットCPM(totalTCPM) | 500円 / ↑149% |
全体でシミュレーションしてみる
「これら①〜⑧の施策を同時期に実施した場合、全体の収支や効果はどうなるのか?」と、テレビ局関係者の方は気になるかもしれません。そこで、各CPに一定の本数を設定し、⑨はGRP取引として全体の約90%(インプレッション数の割合)を確保。また、⑩に純粋なコア層向けのキャンペーン(CPM設定は同一)を加えた上で、当社の「 iTS 」を用いた全体のシミュレーションを行いました。その結果が以下の一覧です。
トータルでは、約104%の増収となっています。一方で、インプレッション取引には全CM枠のうち1割程度しか充当していないため、テレビ局としては約40%のカロリーアップ(収益向上)が可能であることがわかります。
この結果を踏まえると、インプレッション取引をアクチュアル請求に組み込んだ場合でも、十分に収支が合う計算になります。
*15%前後のバッファ回収も可能と想定
個別のキャンペーン比較とターゲット設定の影響
個別に見ると、①と②はCPM以外の条件が全て同じため、当然ながらCPMが高い②の方が優先的にCM枠を確保できます。①はもともと設定上限までインプレッション数に達していませんでしたが、同じ条件でTCPMのみが異なる場合、競争が発生すると①のインプレッション数はさらに減少することになります。
①〜④はすべてF1層をメインターゲットとしています。ただし、ターゲットの広がりには違いがあります。
- ①と②:F1のみを対象
- ③:F1に加え、F1以外の女性層(上下の年齢層)を周辺ターゲットに設定
- ④:F1に加え、コア層(男性層も含む)を周辺ターゲットに設定
このシミュレーションの結果、F1のターゲットCPMは最終的に約5,000円前後が必要であることがわかりました。一方で、周辺ターゲットも存在する場合(実際にはその方が多いと考えられる)、F1のCPM設定を抑えることで、CTV広告(デジタル動画)などとの効率比較や統合管理がしやすくなります。また、周辺ターゲットにも適切なCPMを設定することで、CM枠の配分効率も向上するという結果が示されました。
つまり、
- 「F1以外は一括りで考える」のか
- 「F1以外の周辺ターゲット群もより効果的に活用する」のか
この視点の違いが、CPMやCM露出結果に大きく影響を与えることになります。おそらく、F1単体でのCPMは5,000円が最低ライン、適正CPMは6,000円前後と考えられます。
④と⑩の比較:コア層ターゲティングの違い
さらに、異なる視点での比較も重要です。例えば、④と⑩はいずれもコア層にターゲットCPMを設定していますが、
- ④はF1をメインに考えた場合
- ⑩はコア層全体をフラットに評価した場合
この2つでは結果に大きな差が生じました。
④ではF1に対して高いターゲットCPMを設定しました。その結果、
- F1のターゲット比率の上昇
- コスト上昇(TotalTCPMの変動)
これらの差分が、⑩の「コア層全体を均等に評価する」手法よりも大きくなり、非常に興味深い結果となっています。
コスト上昇率 vs 効率改善率の比較
今回、①〜⑧の全てのキャンペーンで、「GRP取引からのコスト上昇率」よりも「設定ターゲットの効率改善率」が上回る(+ポイント) という結果になりました。ただし、これはあくまでも現在のGRP取引の平均値(比較的安くテレビCMが購入されている)との比較です。
そのため、新規にテレビCMの出稿を検討している広告主にとっては、あまり影響しない指標かもしれません。それよりも、CTV広告と比較した際の「ターゲットCPM」という視点から、テレビCMの効率性に対する新たな気づきを得ることの方が重要でしょう。
インプレッション取引とGRP取引の枠の比較
最後に、今回はインプレッション取引枠(①〜⑧、⑩)の合計が約10%、GRP取引(⑨のみ)が約90%となるようにシミュレーションを実施しました。それぞれがどの曜日・時間帯のCM枠を使用しているのかを、以下の比較表にまとめました。
当然ながら、
- インプレッション取引とGRP取引の割合の設定
- インプレッション取引のターゲット設定
によって、シミュレーションの結果は変化します。特に今回はF1ターゲットを多めに設定しているため、比較にやや偏りがある点はご留意ください。
しかし、インプレッション取引がGRP取引よりも高単価で取引される前提であれば、GRP取引の「良枠」を完全に枯渇させることなく、インプレッション取引とGRP取引の共存は十分に可能であると考えられます。

以上、テレビCMをインプレッション取引するシミュレーションをいくつかご紹介しました。この設定でシミュレーションをして欲しいなどのご要望がもしあれば お問い合わせ からご連絡ください。
Programmatica Inc.
Yoshiteru Umeda|楳田良輝