CTV広告主の8割がゴールデンタイム並みに評価
TEGNA Inc.(NYSE: TGNA)が2016年に設立し、米国の地域およびローカル広告主向けのプレミアムなコネクテッドTV広告(以下、CTV広告)ソリューションのリーディングカンパニーであるPremionが、2022-2023シーズン上期終了時点(2023年3月)での「CTV広告に関する米広告主の意識調査*」を実施、結果を公表しました。今回はPremionの調査結果から興味深かった点をいくつかピックアップしてご紹介します。
*調査自体はAdvertiser Perceptions社で実施
調査対象
本調査は、CTV広告の意思決定に携わるブランドのマーケティング担当者とエージェンシー関係者の合計約150名を対象に匿名のオンライン調査で実施されました。回答した職務クラスは、ほぼミドルクラス以上で構成され、そのうち約半数はシニアクラス(バイスプレジデント以上)となっています。また、ブランドサイドの選出条件には、2022年と2023年共にCTV広告の利用実績がすでにあり、かつ年間25万ドル以上(約3,500万円以上)の広告費実績がある米国の広告主としていますが、最終的には500万ドル以上(約7億円以上)の広告主が全体の75%以上を占め、年間の平均広告費は9,300万ドル(約130億円)となっています。調査回答者のプロフィール内訳は以下表の通りとなっています。
調査要点
- CTV広告への投資意欲と期待値は依然として高く、3社に2社(65%)は2023年のCTV広告費は増加予定。(平均増加率は23%)
- 増加理由の上位は、減少傾向にあるテレビ視聴者へのリーチ(46%)、デジタル機能を持つテレビとして利点(44%)、フルファネル目標の達成(39%)など
- 2023年にCTV広告費を増加させる広告主のうち62%はデジタル、ソーシャルメディア、リニアTVから予算を再配分し、3社に1社は新たにCTV広告予算を追加
- CTV広告主の86%は、CTV広告の価値がゴールデンタイムのテレビより高い、もしくは同等であると考えており、44%はCTV広告の方が価値が高いと回答
- CTV広告のメリットとしては、ブランド認知とパフォーマンスマーケティングの目標達成(38%)がトップ、デジタル機能を備えたTVの利点(38%)、リニアTVキャンペーンのリーチ拡大(37%)、減少するTV視聴者の獲得(37%)が僅差で続く
- 4社に3社のCTV広告主は、CTV広告をリニアTV広告の延長と見ており、3社に2社の広告主は、リニアTVとCTV広告を組み合わせることで、ブランド認知度が向上し、フルファネルのROIが改善すると考えている
- 半数以上のCTV広告主が、コ・ビューイング(共視聴)はCTV広告の付加価値であり、それによりリニアTVと同等に比較できるとしている
- CTV広告のプランニングや戦略において、プレミアムコンテンツ、ブランドセーフティ、アドフラウド防止などは優先事項となっている
では、調査結果を具体的に見て行きましょう。
2023年/2022年の広告費比較
Q. 2023年の各メディア広告費は2022年と比べて増減するか? Q. 増加する場合、何%程度か?
CTV広告を利用する広告主の3社に2社(65%)がCTV広告を増加予定。増加回答のCTV広告主の平均増加率は23%。CTV広告以外の全てが、トータルで6割以上が現状維持もしくは減少と回答している。また、特にリニアTV、OOH、プリントでの減少回答が多い。
CTV広告費増加のための予算シフト
Q. 2023年のCTV広告費増加で予算の影響を最も受けるメディアは何か?
予算シフトで最も影響を受けるのはリニアTVがトップで41%とダントツ。また、デジタル(ビデオとディスプレイ)、ソーシャルメディア、リニアTVなどから予算を再配分すると回答したのは全体の62%。新規に予算を追加すると回答したのは34%(約3分の1)のみである。
CTV広告予算を管理する部門
Q. 2023年にCTV広告予算を主に管理する部門は?
CTV広告の予算管理する主な部門は、統合部門あるいはハイブリッド型チームと半数以上が回答(52%)。デジタル広告のバイイング部門が管理するのは32%、リニアTV部門では14%と圧倒的に少なくなっている。
CTV広告の最大メリット①
(オーディエンス/ターゲティング関連)
Q. CTV広告の最大のメリットや利点は何か?
CTV広告に関して、オーディエンスやターゲティングでメリットと感じているのは、デジタル機能を有しながらTVの持つメリットも享受(38%)、リニアTVキャンペーンのリーチ拡大(37%)、減少するTV視聴者へのリーチ補完(37%)、精度の高いオーディエンス・ターゲティング活用(36%)などが上位となっている。
CTV広告の最大メリット②
(パフォーマンス/価格関連)
Q. CTV広告の最大のメリットや利点は何か?
CTV広告のパフォーマンスに関連するメリットのトップは、ブランド認知度とパフォーマンスマーケティング目標の達成(38%)で、広告のリレバンシー向上も33%と高い。
CTV広告費における最大の課題
Q. CTV広告の最大の課題は何か?
パブリッシャー/プラットフォーム間での広告フリークエンシー管理の難しさ、断片化、効果的なターゲティングのためのリーチ/スケールの確保がCTV広告の課題の上位となっている。
数値目標達成におけるCTV広告の効果(リニア比較)
Q. 2022年にリニアTV実績を持つ広告主は、数値目標達成においてCTV広告はどの程度効果的と考えるか?
CTV広告主の52%がキャンペーンの効果測定においてリニアTVよりも効果的であると回答している(同等と考えるのは40%)。また逆に、費用対効果では22%、ブランド認知の向上では24%がリニアTVの方が効果が高いと考えている。
数値目標達成におけるCTV広告の効果(デジタル比較)
Q. 2022年にデジタルビデオ実績を持つ広告主は、数値目標達成においてCTV広告はどの程度効果的と考えるか?
CTV広告主の半数近く(47%)が、質の高いコンテンツとの連携においてデジタルビデオよりも効果的で、40%以上がブランドセーフ環境の確保とブランド認知度の向上においてより効果的であると回答している。費用対効果の面では27%がデジタルビデオの方が効果的と考えている。
CTV広告はリニアの延長か?デジタルの補完か?
Q. CTV広告はリニアTVの延長として購入しているか?、それともデジタル広告の補完か?
リニアTVの延長(拡張)と考えるのは36%で、デジタル広告の補完は25%である。両方と回答した40%を加えると、4社中3社はCTV広告をリニアTV購入の延長と見ているともいえるが、デジタル補完側も65%程度となっている。
CTV広告における「共視聴」の価値
Q. CTV広告の共視聴について、以下の記述にどの程度同意できるか?
CTV広告主の半数以上は、「共視聴」はCTV広告の付加価値と考えており、総視聴者数も勘案することでリニアTVと同程度の比較、また計画・測定も用意になる考えている。
- 共視聴は広告プラットフォームとしてのCTV広告の付加価値(同意17%、やや同意39%)
- 共視聴による総視聴者数を考慮することでCTV広告はリニアTVとも比較可能(同意16%、やや同意38%)
- CTV広告は共視聴の使用でリニアTVに近くなり、両者の計画と測定が容易となる(完全同意13%、やや同意40%)
CTV広告における指標の重要性
Q. CTV広告キャンペーンにおいて、次の指標はどの程度重要か?
ブランドリフト(42%)、リーチ&フリークエンシー(41%)、売上向上(37%)、リニアTVのリーチ拡張(35%)などが重要なレポーティング指標となっている。
CTV広告の評価で多く使用される指標
Q. CTV広告キャンペーン評価に次の指標をどれくらいの頻度で使用するか?
CTV広告キャンペーンのROAS評価では、ブランド認知向上やインプレッション数は半数以上で使用されている。
CTV広告キャンペーンにおけるターゲティングの重要性
Q. CTV広告キャンペーンにおいて、重要視なターゲティングは?
重要なターゲティング戦術のトップ3は、ファーストパーティデータ(79%)、カスタムオーディエンス(78%)、興味・行動ベース(78%)であるが、その他の回答率も高い。
ローカル視聴者へのターゲティング
Q. CTV広告で可能なローカル視聴者のターゲティングについて、以下の記述にどの程度同意できるか?
CTV広告主の10社中7社が、CTV広告はリニアTVでは不可能な地域ターゲティングが可能であるとしている。
- リニアTVでは不可能なターゲティング手法が可能(同意27%、やや同意43%)
- 全米キャンペーンでは実現できない、地域ごとの視聴者の絞り込みができる(同意25%、やや同意45%)
- 無駄を省き、効果的に視聴者にリーチできる(同意23%、やや同意45%)
- 地域状況に基づき全米またはローカルのキャンペーンを微調整やカスタマイズ可能(同意18%、やや同意53%)
プレミアムコンテンツの優先度
Q. CTV広告のプランニングや戦略において、プレミアムコンテンツを優先しているか?
CTV広告主の89%はCTV広告にプレミアム動画コンテンツを含めることを優先するとしており、そのうち29%は最優先と考えている。
CTV広告とリニアTVのゴールデンタイム比較
Q. CTVはオプトイン視聴であることを鑑み、リニアTVのゴールデンタイムと比較したその価値は?
CTV広告主の86%は、CTV広告の価値がゴールデンタイムのテレビより高い、もしくは同等であると考えており、そのうち44%はCTV広告の方が価値が高いと答えている。
CTV広告におけるブランドセーフティの優先度
Q. CTV広告のプランニングや戦略において、ブランドセーフティの優先度は?
ブランドセーフティは87%が優先事項と考えており、そのうち約40%は最優先事項と考えている。
以上、Premionの「CTV広告に関する米広告主の意識調査」からダイジェスト的に興味深かったポイントをご紹介しました。ローカルに特化したCTV広告ソリューションを持つPremionは、FAST(広告付き無料ストリーミングTV)の領域でも注目したい存在です。なお、全文(原文)をご覧になられたい場合は以下リンクより入手可能となっています。ぜひ、ご確認ください。
Source:Premion ” CTV/OTT Advertiser Study|2023 “
*原文からの翻訳はプログラマティカにて行い、当社としての解釈および注釈などを加えてご紹介しています。
Programmatica Inc.
Yoshiteru Umeda|楳田良輝