スーパーボウルでCMを放映するために必要な金額はとても大きいですが、1視聴者あたりの単価で見た場合は、通常のテレビ番組の半分程度で済み、結果的には安くなります。また、一度きりのCMオンエアは視聴の重複がないので(つまり、フリークエンシーが全員1回のみ)、同じ投資額だったとしても、より多くの人にCMを観てもらうことが可能となります。
もちろん、スーパーボウルに関連するニュースやCMの特集なども、毎年多くのメディアなどで取り上げられますから、それらの価値への評価もあるでしょう。いずれにしても、視聴者を「実数」で見ることにより、CMのコストとその価値をきちんと把握できていると考えられます。
出典資料:2017.2.6 Forbes Japan スーパーボウルCM「30秒6億円」は安いと断言できる理由
*金額および日本円換算は記事当時
https://forbesjapan.com/articles/detail/15106
そして近年、日本でもテレビ視聴データの整備が進み、「世帯視聴率」から「個人視聴率」を使用することで人数ベースでの試算が可能となりました。これまでの「%(パーセント)」ではわかりにくかったテレビCMの評価指標は、「人数ベース(CPMあるいは1視聴単価)」や「総表示回数(合計imps)」で見ることで、他のメディアと比較して圧倒的にコスト効率が良いことがあらためてわかります。
これは、投資効率の比較を行う際や、社内説明などを行う際にとても使いやすい(わかりやすい)指標となってきています。
<参考>テレビCM・キャンペーンレポート例(オリジナルレポート)
テレビCMに関する用語などの参考記事
テレビCM とは〜視聴率とルールの話
⑤不在だったミドルファネル訴求に使用(新しい役割)
SAS を使用することにより「テレビCMの新たな役割」に期待値が高まります。指定した日時に、予定したCM量を確実に投下できる SAS は、アッパーファネルとローワーファネルをつなぐ「ミドルファネル訴求(検討段階)」の強力な武器となり得ます。もちろん、クリエイティブはミドルファネル訴求に適した別クリエイティブを用意する必要はありますが、テレビCMだからできる、フラウドやブランド毀損の心配のないアプローチが可能です。
テレビCMだけでも重複リーチを最大化できる
例えば、全体12日間でテレビCMを630GRP*投下した場合、最後3日間の150GRPは新たなリーチは5.7%しか伸ばしませんが、重複したリーチを40%も生み出します。
テレビ×デジタルなど、重複リーチが認知や購入意向(単独リーチより)に対して高い効果があることは、過去のいくつもの検証でわかっていますので、SASならテレビCMを使って、この重複リーチのタイミングや量などを意図的にコントロールすることも可能です。
*GRPだけでなくTRP(TARP)でも同じ
営業部門や流通との連携の強化
認知や購入意向を最大化させられるタイミングをコントロールすることは、流通施策戦略(つまり営業部門との連携)の強化につながります。
例えば、デジタル広告でメインターゲットへのアプローチを図りながら、スポットCMでリーチをいっきに広め、そして店頭での販売施策と連動したタイミングで、ミドルファネル強化としてSASを活用するなどが考えられます。
デジタル広告は、細かいターゲティングは可能ですがリーチを積み上げるのに時間を要します。片やテレビCMの瞬発力は絶大。アッパーファネルでは低コストのスポットCMでリーチ・認知を積み上げ、流通連携や集中セールスのタイミングに合わせ、SASで重複リーチを最大化させられます。
⑥テレビ×デジタル統合戦略の進歩(シームレス化)
これまでテレビCMに限らず広告業界ではデモグラという間接的なターゲティングを行ってきました。当然、ブランド側はターゲットプロフィールを作成したり、ライフスタイルや意識クラスターなども設定したりもしますが、メディア選択やバイイングの時点で、あるいは到達評価などを行うためには間接的なデモグラに一度変換しなければなりませんでした。
このような環境の中ではテレビCMとデジタル広告は統合評価をすることはもちろん、プランニング時点でのアロケーション基準も曖昧となり、その統合はなかなか進みませんでした。SASの登場は、この「テレビCM×デジタル広告の統合戦略」を推し進められる絶好のきっかけになると言えるでしょう。
⑦プライバシー保護問題の影響(喫緊の課題)
最後に、 SAS に期待する(活用したい)理由に、喫緊の課題である「プライバシー保護問題」の影響があります。プライバシー保護問題の詳細や課題、対策などついてはそれらの専門レポートをご参照いただきたいですが、これまでデジタル広告側に期待した役割を一気にテレビCM側に揺り戻す必要性が高くなってきているということです。(米国では既に揺り戻しが始まっています)
ただし、元々ターゲティング需要であったデジタル広告のそれは従来型の番組提供やスポットCMに戻って来ても、広告主の期待に応えることは難しく、やはりオーディエンスデータを活用できる SAS のようなバイイング方法に期待が高まっていきます。
・罰則や罰金の措置が始まり広告主側から出稿抑制する動き
・Cookieを使用したリターゲティング広告が無くなる(IDならいいのか?)
・特に「位置情報」を使った広告配信は壊滅する可能性も高い
・日本でも公正取引員会が動き出した(個人情報保護法+独占禁止法へ)
テレビCMの評価指標は、従来のひとつの世帯視聴率だけの時代から大きく変化をしています。各種視聴率データによる分析はもちろんのこと、新たに登場した「視聴質データ」などの活用も含め、あらためて 「テレビCMの力」を再評価し、そのリプランニングとテレビCM枠の購入方法までを見直す良い機会となりそうです。
以上、ぜひ広告主が活用したい「 スマート・アド・セールス (SAS)」のご紹介でした。
<ご注意> SAS は約2ヶ月前から購入可能ですが、在庫は常に変動し、価格も月ごとに異なる可能性があります。
Programmatica Inc.
楳田 良輝|Yoshiteru Umeda
*2020年2月12日に開催されました『日本アドバタイザーズ協会様(JAA)電波委員会主催セミナー』での講演内容にさらに詳細なご説明を加えて、本ブログでご紹介をしています。(初回投稿:2020年2月13日、最新更新:2021年10月14日)