簡易シミュレータ「iTSウェブ版」を期間限定公開
地上波テレビCMのインプレッション取引を簡易シミュレーションしてみるツール「iTS」(Impression-Based TVCM Transactions Simulator by Programmatica)のウェブ版*を作成しました。この iTSウェブ版で「総量評価によるインプレッション取引」のイメージを少し掴んでいただけるかも知れません。現在はデモグラにしか対応できていませんが、データを増やし、資金を集めながら徐々にバージョンアップさせていきたいと考えています。もし、現時点でも「iTS」にご興味もっていただける場合はお問い合わせください。
*αバージョン(開発段階バージョン)
iTSウェブ版を使ってみる
iTSウェブ版は、ひとつのテレビ局1週間分のスポットCM分に相当する「約5,000本」に対して1本1本CM毎にシミュレーションを行います。もちろん、タイム/スポット比率はテレビ局だけでなく、放送エリアや時期などによっても多少変動します。ですが、テレビCMの最大量(最大本数)は民放連の放送基準である「18%上限*」によってほとんどの局で差はありませんので、一旦この本数を対象とします。(当然ですが、インプレッション数には局ごとに大きく差があります)
*24時間×7日間=168時間の18%=30.24時間(最大7,250本/15秒CM換算)
また、iTSでのシミュレーションは関東エリアの視聴データを当社独自にサンプル化して使用しており、GRP取引による平均CPMを「335円」と仮定*しています。そこから試算したCM1本あたりの金額を下回るCMポジションは、わざわざ手間を増やしてインプレッション取引する必要はないので選択されません。
*%コストを15万円として試算
<iTSの使い方>
初めて iTSウェブ版で「総量評価によるインプレッション取引」のシミュレーションを行う場合は、以下をご参照ください。クリックすると「iTSの使い方」のフローに沿って各説明文が表示されます。
- まず「メインターゲット」を選択します。選択は必須です。複数選択も可能です。
選択例:F1(女性20〜34歳)、M1(男性20〜34歳) - 次に「周辺ターゲット」を選択します。「周辺」とは「メイン」とは同等には評価できないけれども、広告対象としては十分に価値を感じるサブターゲット群のことです。必須選択ではありませんが、複数を選択することも可能です。当然、メインおよび周辺ターゲットにはそれぞれ評価の高低があるはずですが、それは次の「ターゲットCPM」(TCPM)で設定をします。
選択例:F2(女性35〜49歳)、M2(男性35〜49歳)
- iTSウェブ版では、デモグラのみがシミュレーション可能です。各ターゲットに対するCPM(広告表示1000回単価)を設定してください。
設定例:メイン F1=1500円、M1=1500円、周辺 F2=1000円、M2=1000円
*半角数字のみ入力してください(以下、数字は全て同様) - 総量評価によるインプレッション取引ではターゲットCPMに最低金額があります。iTSウェブ版では1円以上がデフォルトになっています。これは「0」では総量評価ができないためです。
- 通常はメインのターゲットCPMが最も高く、周辺がそれよりも安くなる場合がほとんどですが、メインの中でもターゲットCPMには高低があってよく(一律である必要はない)、周辺にもそれぞれの評価に合う適切なターゲットCPMを設定します。例えば、高齢層などの母数が多いセグメントは比較的低め、逆に若者層は高めになることが多いです。ただし、その評価は自由です。(インプレッション取引であることの意義)
- シミュレーションする「インプレッション数の上限」を設定します。これは「メインのみ」「メイン+周辺」「個人全体」からの必須選択です。
- ですが、例えばメインにF1(女性20〜34歳)、周辺にF2(女性35〜49歳)を選択している場合などでも、インプレッション数の上限は、メインのみ(F1)のインプレッション数で設定することが可能です。
設定例:「メインのみ」を選択。上限インプレッション数が1,000万回(imps)の時は「10000000」と入力
- 「CM最大本数」が設定できます。この条件は広告主にとってはあまり必要のない設定ですが(なぜなら、上記でインプレッション数上限を設定しているので)、例えば、テレビ局の方などが「この条件でどれくらいの本数まで自局でインプレッション取引を可能とするか」(価値を高く割り当てられるのか)をシミュレーションしたい場合などに設定してください。(デフォルトは上限なし)
設定例:上限なし(「0」のままにする) - 「同日/同時間帯の上限本数」、つまりフリークエンシー(FQ)はできるだけ設定してください。上限なしでもシミュレーションは可能ですが、総量評価のインプレッション取引の場合、効率が良い枠が明確となるため、そのCM枠にシミュレーション結果が集中してしまう危惧があります。それを回避します。
設定例:2本まで(「2」を入力)
- ここまで設定したら、「シミュレーション条件を確認する」を押して設定条件を確認してください。確認画面が表示されます。
- 設定条件に問題がなければ「決定する」を押して、シミュレーション条件を確定してください。
- 必ずシミュレーション条件を確定した後に「シミュレーションを開始する」を押してください。計算を開始します。
- シミュレーションの完了までに約1分程度かかります。
- 無事にシミュレーションが終わると、完了メッセージが表示されます。
- しばらくお待ちください。
- シミュレーション完了後に「簡易シミュレーション結果を見る」を押して結果をご覧ください。
- iTSウェブ版では、以下のことがご覧いただけます。
①シミュレーション条件(設定ターゲット、ターゲットCPM、その他の設定)の確認表示
②シミュレーション結果
・インプレッション内訳:個人全体、メイン、周辺、メイン+周辺、ターゲット外(各比率)
・CM本数とGRP換算:CM本数、GRP換算
・CM金額とターゲットCPM:CM金額合計、メインTCPM、メイン+周辺TCPM、totalTCP - ただし、ターゲットCPMの設定が低すぎると「ゼロ回答」となる場合があります。では、どれくらいの金額でシミュレーションするといいのか?は、頁末「iTSレポート版」サンプルのターゲットCPMなどもご参考に、複数のパターンを試してみてください。イメージが掴めてきます。
- iTSレポート版では、より詳細なシミュレーションが可能です。ご興味がある場合は別途お問い合せください。
- アプリケーション部分の読み込みに若干時間がかかることがあります。しばしお待ちください。
- αバージョンのため途中で止まることがたまにあります。その時はあきらめずにやり直してください。
- アクセスが集中するとエラーが起きることもあります。その時は少し時間を空けてみてください。
- スマホでもたぶん利用可能ですが、iframeを使用しているためにPCでのご利用を推奨します。
- シミュレーション中の「ボタン2度押し」はお控えください。誤動作の可能性が高まります。
では、実際にシミュレーションをやってみましょう。
シミュレーション条件を決定したら、以下よりシミュレーションを開始してください。
設定条件により少し変動しますが、シミュレーション完了までには約1分程度かかります。「総量評価によるインプレッション取引」を提唱する理由のひとつに、テレビCMは従来の「大量に安く」から、今後は「適量を効率的に」があります。従って、インプレッション数(CM量)を大きく設定することはシミュレーションを行う上で優位には働きません、少量でも効率的な枠だけが選択されます。逆にいうと、量が多過ぎるとターゲット効率は悪くなります(ただし、totalTCPM*も比例して安くなります。ココが重要!)。また、全てのターゲットCPMを安く設定し過ぎた場合は対象CM枠がない可能性もあります。ターゲット設定とターゲットCPMのバランスが大切です。
総量評価によるインプレッション取引では、ターゲット比率とtotalTCPMが非常に高い相関関係にあります。局にとっても、広告主にとっても「いいとこ取りさせない(できない)」から「いいところを、いい値段で売る(買える)」仕組みを実現させることが根底にあります。では、それは実際どれくらいになるのか(価格、量)? シミュレーションを開始してみましょう。
*totalTCPM:トータル・ターゲットCPMは、個々のターゲットCPMとインプレッション数から算出される総量評価による指標
シミュレーションが完了したら、以下より「簡易シミュレーション結果」をご確認ください。それまで「インプレッション取引」に関する紙芝居的な資料をご覧いただきながらお待ちください。
テレビCMの価値を再定義する
「インプレッション取引」の導入について
それでは、シミュレーションした結果を見てみましょう。
シミュレーション結果はどうだったでしょうか。
*設定条件が決定したものと合っているかご確認ください。αバージョン(開発段階)を公開しているため、他者とアクセスが重なると不具合が起きることが稀にあります。
次表は平均的なターゲット比率の参考例です(全日型1週間平均)。個人全体に占める各セグメントのインプレッション比率の一覧となっています。F1〜F2の合計比率で見たい場合は表側をF1、表頭F2のセルをご確認ください。この試算には iTS と同様のデータを使用していますので、総量評価によるインプレッション取引によって、どれくらいターゲット効率が改善するのかイメージが掴めると思います。
また、参考までに先ほどの紙芝居的資料から以下のページを抜粋してご紹介します。これもiTSによってシミュレーションがなされています。
- 男女兼用化粧水「ume sui」(仮称)の新商品キャンペーンは20〜30代若者層をメンターゲットとしていますので、シミュレーションの設定条件はメインターゲットに「F1」と「M1」、周辺ターゲットに「F2」と「M2」を選択しています。(F2とM2も年齢が低い層はターゲットとして評価している)
- そのため、ターゲットCPM(TCPM)はMF1を「1,500円」としていますが、MF2にも「1,000円」を設定しています。ただし、インプレッション数の上限は「メインのみ」(MF1)を選択し「1,000万回」まで、同日/同時間帯本数(FQ)は「2本」までとしています。CM最大本数は設定していません(「CM本数の上限なし」)。
- このシミュレーションでは、CM合計金額(テレビCM費用)は2,790万円(予算は3,000万円以内)で目標インプレッション数を達成できる試算となりました。平均CPMは、従来のGRP取引*の454円から総量評価によるインプレッション取引では585円に約3割上昇していますが、メインターゲット比率(MF1比率)は21.0%となり、全日(10.6%)の約2倍、コの字(13.8%)からでも5割強上昇し、効率改善率がコスト上昇率を十分に上回っています。
*コの字で想定。全日の%コストを15万円(平均CPM335円)と仮定し、コの字では17.5,万円に上昇する(約17%程)と試算
- また、メインであるMF1の平均ターゲットCPM(MF1単価)は約2,800円と、同時期にMF1でターゲティングして実施した(想定の)CTV広告のCPM4,000円を大きく下回っています(△1,200円)。
- さらに、CTV広告は同予算で750万回*しかMF1ターゲットに広告露出(インプレッション)できませんが、地上波テレビではメインターゲット(MF1)への約1,000万回に加えて、周辺ターゲット(MF2)にも約1,300万回の広告露出が可能となります。メイン+周辺合計では約2,300万回となります。ターゲットCPMは約1,220円です。
*3,000万円÷CPM4,000円
例えば、メインターゲット(MF1)のみにTCPMを3,000円とし、インプレッション数上限を1,000万回と設定するとテレビCM費用は必ず3,000万円が必要となりますが、自社の商品やサービスに周辺ターゲット(いくつかのサブターゲット群)が過去データ分析やプランニング段階で存在するのであれば、その周辺ターゲットにもきちんとターゲットCPM(価値)を付けてあげると、さらに効率的なキャンペーンの実施が可能となります(上記シミュレーション例では2,790万円に収まった)。
また、単一セグメント(例えば「F1のみ」)だと、どれくらいのTCPMの設定が必要になるのか?など、iTSウェブ版でいろいろ試して、そのイメージをぜひ掴んでみてください。
先日、某大手消費財メーカーの方と本件に関するお話をしていた際、「周辺ターゲットの考え方はよくわかりましたが、ターゲット外の評価が『1円』しかないとも思えないですね」とのご感想をいただきました。「なるほど・・」と思い、以下のような設定条件で iTS でシミュレーションしてみました。その結果もご参考までに。
- メインターゲット: F1, F2, M1, M2
- 周辺ターゲット: F3, F4, M3, M4
FC | FT | F1 | F2 | F3 | F4 |
100円 | 100円 | 1,000円 | 1,000円 | 335円 | 335円 |
MC | MT | M1 | M2 | M3 | M4 |
100円 | 100円 | 1,000円 | 1,000円 | 335円 | 335円 |
- インプレッション上限: 50,000,000回(メイン+周辺)
- CM本数上限: 上限なし
- 同日/同時間帯上限: 2本
- 個人全体:55,205,000回
- メイン:26,259,000回(比率:47.6%) *全日平均 27.8%(+19.8p)
- 周辺:23,734,000回(比率:43.0%) *全日平均 65.9%(△22.9p)
- メイン+周辺:49,993,000回(比率:90.6%)
- ターゲット外:5,212,000回(比率:9.4%)
- CM本数:76本
- GRP換算:143GRP
- CM金額合計:34,730,000円
- メインTCPM:1,320円
- メイン+周辺TCPM:690円
- totalTCPM:629円
「テレビ×ストリーミング」時代の評価を考える際、地上波テレビCMを「総量評価によるインプレッション取引」を行うことで、テレビCMとCTV広告は最適な統合活用が可能となることでしょう。
iTSウェブ版では各集計結果のみを提供していますが、実際にはCM1本単位で全CM分(約5,000本)のシミュレーションを裏側で実施しており、一つ一つのCMポジションを比較しながら最適な割付けを行っています。従って、インプレッションを指標とする新たな「作案作業」にも十分に取り込んでいけることでしょう。
iTSレポート版のサンプル
iTSには、ウェブ版以外に「レポート版」があります。レポート版はインタラクティブ性、即時性に欠ける代わりに、複数の条件設定をしたり、細かな部分までをわかりやすいフォーマットで見たりすることができます。また、特定エリアのサンプル化したデータだけでなく、各テレビ局が自局データを指定して自由な時期や期間でオリジナル分析することも可能になります。広告主のテレビCMプランニングの効率性チェックにもご利用いただけます。
全スポットCM枠を仮設定したキャンペーン1〜10(CP1〜10)でシミュレーションした結果一覧です。「コスト上昇率」は平均CPM335円(GRP取引)との比較*、「効率改善率」はメインターゲット比率の全日平均との比較です。もちろん、新規にテレビCMを行う場合はこれは関係ないことです。メインターゲットの「比率」や「単価」、「totalTCPM」などに注目してください。
*ただし、通常のGRP取引では総量評価によるインプレッション取引した際と同様の「いいとこ取り」(作案)はできない。
キャンペーン3(CP3)の個別レポートです。(他キャンペーンも個別あり)
*iTSによるシミュレーション結果を含む、全ての情報の無断転載・複製・改変等を禁止します。